山口県は高齢化率が全国平均を大きく上回り、介護人材の需要が高まっています。介護の仕事に興味はあるけれど、どの資格から取ればよいのか、どこで学べるのかが分からないという方も多いでしょう。ここでは介護職員初任者研修や実務者研修、国家資格である介護福祉士、さらにはケアマネジャー(介護支援専門員)まで、山口県内で取得できる主な資格とその取得方法をやさしく解説します。
主な介護資格一覧

まずは、山口県内で目指せる代表的な介護系資格を簡単に整理してみましょう。各資格の詳しい解説はこの後の章でご紹介します。
- 介護職員初任者研修
介護の基本を学ぶ入門資格です。130時間の講義・演習を通じて介護の基礎を身に付け、ホームヘルパーや介護施設職員として働くための基礎資格となります。 - 介護職員実務者研修
介護福祉士の受験資格にもなるステップアップ資格。450時間以上の学習でより専門的な知識や医療的ケアを学びます。 - 介護福祉士(国家資格)
介護職の専門職資格で、国家試験に合格し登録する必要があります。養成施設卒業や福祉系高等学校、実務経験など3つのルートがあり、2027年度からは養成施設卒業者も国家試験が必須です。 - 介護支援専門員(ケアマネジャー)
ケアプラン作成などを行う専門職で、介護福祉士などの資格を持ち所定の実務経験を積んだ上で試験に合格する必要があります。山口県では毎年秋に実務研修受講試験が実施されています。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

資格の概要
介護職員初任者研修は、介護の基本を学ぶ入門的な資格です。介護職が未経験でも受講でき、訪問介護員や施設介護員として働く際の基礎知識と技術を身につけます。山口県によると、初任者研修は合計130時間の講義・演習で構成され、介護の基本的な考え方、身体介護の基礎、コミュニケーションなどを学びます。2013年に旧ホームヘルパー2級研修が統合され、新しいカリキュラムとなりました。
取得方法
県が認定する養成事業者(社会福祉法人や介護サービス事業者など)が開講する講座を受講し、全課程修了後に修了証を取得します。入学資格に制限はなく、修了すれば訪問介護員として働けるようになります。県内の講座は、山口市や周南市、宇部市など各地の専門学校や介護事業者が開催しているので、日程や開催場所を比較して選ぶと良いでしょう。山口県福祉人材センターや市町の介護保険課で最新の講座情報が入手できます。
介護職員実務者研修

資格の概要
実務者研修は、初任者研修よりも一歩進んだ資格で、介護福祉士の受験資格を得るために必要です。厚生労働省のQ&Aによると、実務者研修は原則450時間以上の講習を受講し、医療的ケアなどより専門的な内容を学びます。この研修を修了すると、サービス提供責任者として訪問介護事業所で勤務したり、利用者へのたん吸引などの医療的ケアが行えるようになります。
取得方法
実務者研修は通信制と通学制があり、働きながらでも受講しやすいのが特徴です。受講資格は特に設けられていませんが、初任者研修修了者や旧ホームヘルパー1級・2級保有者は一部科目が免除される場合があります。山口県内では社会福祉法人や専門学校が定期的に講座を開講しています。受講後は修了評価に合格する必要があります。
介護福祉士(国家資格)

資格の概要
介護福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格で、介護の専門職として高い知識と技能を有し、身体・精神に障害がある人の日常生活を支援するとともに、その家族に対して介護方法の指導を行う役割を持ちます。介護福祉士になるためには国家試験に合格し、登録を受ける必要があります。
取得ルート
介護福祉士になる方法は主に3つあります:
- 福祉系養成施設ルート
介護福祉士養成施設(専門学校)で2年以上学び、卒業後に国家試験に合格する。2027年度以降は卒業生にも国家試験が必須になる見込みです。 - 福祉系高等学校ルート
福祉高校に3年以上在籍し、必要な知識と技術を習得したうえで国家試験を受験する方法。 - 実務経験ルート
介護職員として3年以上(1,095日以上、従事日数540日以上)の実務経験を積み、実務者研修を修了してから国家試験を受験するルート。
山口県内の養成校
山口県内で介護福祉士を養成する主な施設には「YIC看護福祉専門学校」(山口市)や「下関福祉専門学校」があります。入学時期やカリキュラム、受験対策講座などは各校のWebサイトで確認してください。
働きながら資格を取る方法
実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合、現場で働きながら実務者研修を受講することになります。通信制の講座であれば、働きながら計画的に学習が進められます。山口県内では社会福祉法人や民間の通信教育機関が多数あります。資格取得に関するサポートについては、山口県福祉人材センターや市町が実施する研修支援制度を活用しましょう。
できること・メリット
介護福祉士の資格を取得すると、介護現場でのリーダー的役割を担えるほか、施設のサービス提供責任者や後輩指導を任されることが増えます。さらに、介護福祉士資格はケアマネジャーや社会福祉士など他の専門職へのステップアップにもつながります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
資格の概要
介護支援専門員は、高齢者や障害者が適切な介護サービスを受けられるよう、ケアプランを作成し、多職種間の調整を行う専門職です。資格を取得するには、一定の実務経験(介護福祉士や看護師などで5年以上)を積んだ後、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、その後の実務研修を修了する必要があります。
できること・メリット
ケアマネジャーになると、ケアプラン作成や介護保険制度の専門家として、利用者や家族の相談役になれます。介護現場だけでなく、地域包括支援センターや行政機関など幅広い就職先があります。また介護職のキャリアパスとして待遇や地位の向上が期待できます。
その他の関連資格
認知症介護基礎研修
2024年度から、介護職員は認知症ケアの基礎研修を受けることが義務付けられました。現場で認知症の方と接する際の基礎知識や対応方法を学ぶもので、オンライン研修や集合研修で受講できます。
まとめ
山口県には、介護職員初任者研修や実務者研修といった入門的な資格から、国家資格の介護福祉士、そしてケアマネジャーまで、さまざまな介護関連資格を取得するルートが整備されています。初任者研修では130時間の講義・演習を通じて介護の基礎を学び、実務者研修では450時間以上の専門的な講習を受講します。介護福祉士になるためには養成施設卒業や実務経験ルートなどがあり、2027年度以降は全員が国家試験に合格する必要があります。さらに、介護支援専門員試験は毎年県内で実施され、合格すればケアプラン作成等の専門職として活躍できます。ぜひ自分に合ったルートでステップアップし、地域の高齢者やご家族の支えとなる介護の専門職を目指してください。