実家じまいの費用は、家財を片付けるだけか、建物を残して売るか、解体して土地を売るかで変わります。まずは実家をどうするかを整理し、必要になる支出を足して予算を考えましょう。

売却する場合は、片付け代に加えて、登記や契約にかかる費用、仲介手数料、税金なども確認します。さらに、売却代金を受け取る前に支払う費用があると、先に用意するお金が必要です。

この記事では、費用の内訳と具体例、支払う時期、見積もりの確認項目を整理します。片付けを依頼する予定の方には、複数業者の見積もりをまとめて依頼する方法も紹介します。

売却時にどこまで片付ける必要があるか分からない場合は、先に売却条件を確認してください。撤去する物が決まってから見積もりを取ると、必要な作業に絞って比較できます。

情報確認日:2026年9月18日

実家じまいの費用は、家をどうするかで変わる

同じ大きさの実家でも、家財の量や売却条件によって支出は異なります。最初に、今の予定に近い行を確認してください。

実家をどうするか主に確認する費用最初に確かめること
家を残し、家財を整理する必要な片付け・処分、整理後の管理どの部屋・どの物まで片付けるか
建物を残して売る必要な登記、売却費用、契約で求められる家財撤去など今の状態での売却条件と売主の負担
解体して土地を売る必要な登記・売却費用に加え、家財撤去・解体など建物を残す案との比較、解体見積もりの範囲
まだ決まっていない調査・相談にかかる費用の有無から確認所有者の意向、今後使う人がいるか

相続登記は未了の場合に確認し、すでに終えている手続きの費用を重ねて計上しないようにします。親が所有したまま家財を整理する場合も、相続に伴う費用が一律に発生するわけではありません。

全体の進め方から整理したい方は、実家じまいを何から始めるか、進め方と順番も確認できます。

片付け・手続き・売却・解体の費用を確認する

家財の片付け・処分は、量と作業範囲で変わる

自分で片付ける場合は、自治体のごみ処理手数料のほか、車両代や実家までの交通費も確認します。処分方法や持ち込み条件は、実家がある市区町村の案内に従ってください。

業者に依頼する場合は、仕分け、搬出、運搬、処分、清掃のどこまで含むかを確認します。

料金の参考として、片付け事業者が公表している一戸建て向けの例を示します。

間取り公開料金の例(税込)
平屋2DK15万4,000円〜
平屋3DK19万8,000円〜
二階建て4DK24万2,000円〜
二階建て5DK28万6,000円〜

出典:まちの遺品整理屋さんの料金表。同社は、家財の量によって料金が変わり、ピアノ・金庫、家電のリサイクル、仏壇等には別途費用がかかると案内しています。

表は一事業者の表示料金の下限で、家財一式を処分する全国平均ではありません。また、後で紹介する「ぽいみつ」経由の見積額を示したものでもありません。自分の実家では、家財の量と必要な作業範囲を伝えて金額を確認しましょう。

家庭のごみの収集・運搬は、市区町村の許可・委託などに基づく適正な方法で行う必要があります。古物商や産業廃棄物の許可だけで、家庭ごみの回収を依頼できると判断しないでください。整理を頼む会社と、廃棄物を実際に運ぶ会社が別の場合は、その体制も確認します。環境省の家庭ごみ処分の案内

売却予定で撤去する範囲が決まっていないなら、荷物が残る実家を売るときの片付けの順番を先に確認できます。

相続登記は、税金・実費・依頼報酬を分ける

相続で土地や建物の所有権を移す登記には、原則として、不動産の価額に対して0.4%の登録免許税がかかります。この価額は通常、固定資産課税台帳に登録された価格を使い、売却査定額とは異なります。

例えば、対象となる評価額の合計が500万円で、免税措置がなく所有権全部を相続登記する単純な例では、登録免許税は2万円です。一定の土地には免税措置もあるため、対象かどうかを確認します。国税庁「登録免許税の税額表」

このほか、必要書類の取得費や、司法書士へ依頼する場合の報酬を分けて見積もります。「登記費用一式」の中に、税金と報酬がそれぞれいくら含まれるかを聞いてください。

なお、登録免許税と相続税は別です。相続税の要否は、預貯金などを含む財産、債務、基礎控除などで判断します。実家の評価額だけで決めず、遺産全体の資料をそろえて確認しましょう。国税庁「相続税がかかる場合」

売却の仲介手数料は、上限と実際の金額を確認する

不動産会社の仲介で売る場合、仲介手数料がかかります。国土交通省の例では、物件価格1,000万円(建物にかかる消費税等を含めない価格)の取引で、売主側の上限は税込39万6,000円です。

800万円以下の宅地・建物には、仲介手数料の特例もあります。媒介に要する費用を勘案し、通常の上限を超える手数料を受け取れる場合がありますが、一方の依頼者から受け取る額は税込33万円以内です。

いずれも一律の請求額ではありません。特例を使う場合も、媒介契約を結ぶ際に説明を受け、手数料の額を事前に合意する必要があります。国土交通省の仲介手数料の案内

買取会社へ直接売り、仲介会社を挟まない場合は仲介手数料がありません。ただし、片付けなどを含むほかの費用や買取価格も合わせて比べてください。

契約書の印紙税と、売却後の税金も見込む

紙の不動産売買契約書には、契約金額に応じて印紙税がかかります。2027年3月31日までに作成される対象契約書の軽減後の税額は、次のとおりです。

契約書に記載する金額印紙税額(1通当たり)
100万円超〜500万円以下1,000円
500万円超〜1,000万円以下5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下1万円

契約書の種類や作成日、記載金額で確認します。国税庁「不動産の譲渡等の契約書に係る印紙税の軽減措置」

また、売却による税金は、売却収入から取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得などを基に計算します。昔の購入代金が分かる資料や、売却時の領収書は保管してください。国税庁「譲渡所得の計算のしかた」

相続した空き家には、一定の条件で使える譲渡所得の特別控除もあります。建築時期、相続後の利用状況、売却時期などの要件があり、適用には確定申告が必要です。自分の家に使えるかは、解体や売却契約の前に確認しましょう。国税庁「被相続人の居住用財産を売ったときの特例」

解体・測量などは、必要性と総額を個別に確認する

解体費用は、建物の構造・大きさに加え、塀や庭木などの撤去範囲、作業車が入れるかといった条件でも変わります。

一般社団法人あんしん解体業者認定協会の掲載事例には、東京都小平市の木造平屋30坪で、建物解体114万2,000円に付帯工事・諸経費等を加え、値引き後の総額が143万円(税抜き)となった例があります。工事時期は掲載部分では確認できないため、見積もりの内訳を理解する参考例として見てください。30坪の家の解体見積もり例

解体の見積もりでは、建物本体の金額に加えて、家財撤去、塀・庭木、石綿の事前調査や必要な除去、地中埋設物が見つかった場合の扱い、消費税を確認します。

境界の確認や測量が必要か、解体後の建物滅失登記を誰が行うかも、別途確認する項目です。費用が別の見積もりに含まれていれば、二重に足さないようにしてください。

解体するか迷っている段階なら、建物を残して売る場合と、解体して売る場合の判断基準を確認できます。解体後の土地の税額も、所在地の市区町村に聞いておきましょう。

管理・交通・引越しの費用も予算に入れる

売却まで時間がかかる場合は、固定資産税などの納税通知書、保険や管理の契約、電気・水道の請求書を確認します。草刈りや点検を外部へ頼むなら、その見積もりも必要です。

遠方の実家では、往復交通費と宿泊費を、予定する訪問回数で見積もります。親の転居を伴う場合は、引越しや新居の費用も別枠で整理してください。

自分で作業すれば依頼費を減らせる場合がありますが、何度も帰省する必要があるなら、交通費や使える日数も含めて比べましょう。

売却前に必要なお金と、売却後の手残りを分ける

先に支払う費用を洗い出す

売却代金で費用を賄える見込みでも、代金を受け取る前に支払いが来ることがあります。見積もりを取るときは、金額と一緒に支払日を聞きましょう。

費用確認する支払い時期
登記・書類取得取得・申請の時期、専門家への着手時や完了時
片付け・家財処分予約金の有無、作業前・完了時などの条件
解体着手金・完工金の有無と支払期限
仲介手数料売買契約時・決済時など、媒介契約で合意する時期
税金・管理費等納付期限や契約上の支払日

表は確認項目で、各社に共通する支払条件ではありません。解体についても、支払いを分ける場合があるため、契約前に確認します。解体費用の支払い時期の案内

例えば「売却代金の受取前に片付け30万円、登記関係8万円を支払う」と仮定すれば、その2項目で先に必要な資金は38万円です。これは資金準備を説明する仮の例で、費用相場ではありません。

売却代金から差し引く費用をそろえる

売却後に残るお金を考えるときは、売却代金から、売主が負担する費用、残っている借入金の返済、税金などを差し引きます。契約上の清算金があれば、受取・支払の両方を加えて整理してください。

「家財撤去費用込み」の条件で買取価格が提示されているなら、別払いがあるかを確認します。価格に織り込まれ、別途請求されない費用を、もう一度差し引かないようにしましょう。

なお、この資金の整理と、税金を計算するための譲渡所得は別です。例えば、修繕費や固定資産税などの維持管理費は、原則として譲渡費用にはなりません。国税庁「譲渡費用となるもの」

売却を検討していて、費用を含めて仲介と買取を比べたい方は、次の記事で条件を整理できます。

仲介と買取の手取り・費用負担を比較する

費用を抑えるために、依頼する前に確認すること

家財や工事の範囲を先に決める

売却する予定なら、家財を全部撤去したり、修繕工事を発注したりする前に、現在の状態でどのような売却条件になるかを聞きます。

家財を残せるか、何を売主が撤去するか、修繕・解体が必要かを確かめてから、必要な作業を見積もる順番です。ただし、倒壊などの危険がある場合は、安全確保や自治体への相談を優先します。

所有者の意思や相続関係が整理できていないときも、費用のかかる契約を進める前に確認してください。

同じ条件で見積もりを比べる

比較するときは、複数社に同じ作業範囲を伝えます。A社は「家の中だけ」、B社は「物置や庭の物も含む」では、総額だけを見ても判断できません。

写真や対象物の一覧をそろえ、次の点を確認しましょう。

確認すること聞き方の例
作業範囲この金額で、どこまで片付け・撤去してもらえますか
別途費用家電、重い物、階段作業、駐車などで別料金はありますか
追加作業追加が必要な場合、着手前に金額を確認できますか
税込総額見積もりに消費税や運搬・処分費は含まれていますか
支払い・取消しいつ支払い、キャンセル時にはいくらかかりますか

解体では、対象範囲、数量、税の扱い、追加費用の条件も書面で確認します。解体見積書のチェックポイント

売却査定を比べる場合も、同じ物件情報を伝えます。査定価格は売り出し価格を考える参考情報なので、根拠と、金額が変わる可能性のある条件を聞いてください。不動産ジャパン「物件の価格査定を依頼する」

片付けの見積もりをまとめて依頼する方法【PR】

片付ける範囲が決まり、業者への依頼を検討しているなら、一括見積もりサービスも選択肢です。自分で複数の業者を探して、それぞれに申し込む手間を減らせます。

「ぽいみつ」は、不用品回収・遺品整理・空き家片付けなどの見積もりを、複数業者へまとめて依頼できるサービスです。利用と見積もりは無料で、作業を依頼するかは見積もり後に判断できます。

申込後は対応可能な業者から電話があり、訪問して見積もる流れが案内されています。遠方の実家なら、立ち会える日程も含めて相談しましょう。

比較するときは、残す物と処分する物、物置や庭を含めるかを各社に同じように伝えます。無料なのはサービスの利用と見積もりで、片付け作業の料金は各社の見積書で確認します。

売却時に家財を撤去する必要があるか未確認なら、先に不動産会社へ引き渡し条件を聞いておきましょう。

補助制度は契約前に確認する

自治体の空き家関連制度を利用したい場合は、契約や着工の前に、所在地の窓口へ確認します。「補助対象となる作業」「対象者・物件」「申請の順番」「受付状況」「入金時期」を聞いてください。

山口県内の実家なら、県が公開する市町別の空き家相談窓口・助成制度から担当窓口を探せます。掲載資料があっても、現在受付中か、予算が残っているかは各市町への確認が必要です。

交付が決まっていない補助金を、確実に受け取れる収入として予算に入れないようにしましょう。受給できる場合も、支払いと入金の前後関係を確認します。

自分の実家に必要な費用を確認表で整理する

次の項目を紙やメモアプリに写して、分かるところから埋めてください。

費用項目必要か金額支払時期確認先
家財の整理・処分必要/不要/未定未確認未確認自治体・片付け業者
相続登記・書類取得必要/済み/未定未確認未確認法務局・司法書士等
仲介手数料・契約費用必要/不要/未定未確認未確認不動産会社
測量・修繕・解体等必要/不要/未定未確認未確認不動産会社・各専門業者
管理・交通・引越し必要な範囲を記入未確認未確認請求書・契約先等
税金・借入返済等該当項目を確認未確認未確認税務署・自治体・金融機関等

例えば家財について、「売主が撤去することは確認済み、金額は未確認」と分かれば、次はその範囲の見積もりを取ります。

金額が分からない項目は、0円として計算せず「未確認」のまま残します。見積もり済みの合計と、まだ追加される可能性がある項目を分けておけば、予算の不足に気づきやすくなります。

実家じまいの費用でよくある質問

手元のお金が少ない場合、何から確認すればよいですか?

まず、売却代金を受け取る前に必要な費用と、支払期限を確認します。売却を検討しているなら、家財を残す条件や、費用を誰がいつ負担するかも不動産会社に聞いてください。

自己資金なしで進められるかは、物件や契約条件によります。解体や片付けを先に発注せず、支払いの見通しを立ててから進めましょう。

兄弟姉妹がいる場合、誰が費用を払いますか?

所有関係や家族間の合意によって整理が必要です。依頼前に、契約者、いったん支払う人、最終的な分担、売却代金から精算する範囲を話し合い、記録に残しましょう。

立て替えた費用がすべて自動的に精算されるとは限りません。所有や相続をめぐって意見がまとまらない場合は、支出を増やす前に弁護士等へ確認してください。

買取なら、片付け費用は無料になりますか?

家財を残せる条件であっても、処分の負担が買取価格に反映されている場合があります。

「別払いがない」のか、「価格にも影響しない」のかは分けて確認します。残せる物の範囲と買取価格を合わせて判断してください。

無料見積もりを頼んだら、必ず作業を依頼する必要がありますか?

ぽいみつの公式案内では、見積もり後に作業を申し込むかは利用者が決められます。一方、見積もり申込後のキャンセルや契約後の解約条件は、各業者の規約・契約書によります。依頼する前に、作業内容と総額、取消しの条件まで確認してください。ぽいみつ公式案内

次は、分からない費用を1つ確認する

実家じまいの予算は、今の予定に必要な費用から集めれば整理できます。次の確認先を1つ決めましょう。

今の状況次にすること
自分で片付けたい処分する物を整理し、自治体の処分方法・手数料と運搬方法を確認する
業者に頼む範囲が決まっている同じ作業範囲で見積もりを取り、総額・追加費用・支払時期を比較する
売却時に何を片付けるか未定現状での売却条件と、売主が撤去する物・負担する費用を確認する
解体を検討している建物付きで売る案と、解体後の売却条件・総費用を比較する
名義・相続関係が分からない手元の登記資料を確認し、法務局・司法書士等へ必要な手続きを聞く

片付けを業者に依頼する方向で決まっている方へ【PR】

必要な範囲の見積もりを集めると、片付けに用意する予算を具体的にできます。複数業者へまとめて依頼したい場合は、前述のぽいみつを利用できます。

利用・見積もりは無料です。対応業者から電話があり、訪問見積もりの調整が必要になります。作業料金と、依頼・取消しの条件は各社に確認してください。

売却方法や家財の扱いを先に決めたい方へ

仲介と買取で、手取り・期間・片付けの負担を比較する方法で、今の実家に合う売り方を整理できます。売却相談を申し込む際は、対象地域・物件、相談や調査の費用、連絡方法も確認しましょう。