山口県で相続した実家や空き家を売りたい場合、最初から家財を全部処分したり、建物を解体したりする必要はありません。

まず確認したいのは、次の4点です。

  1. 誰が不動産を相続したのか
  2. 相続登記は済んでいるか
  3. 家や土地を今の状態で売れる可能性があるか
  4. 売却前に確認しておきたい税制がないか

特に築年数の古い実家では、「古いから先に解体しよう」「荷物を全部捨ててから相談しよう」と考えがちです。しかし、売却方法によって必要な対応は変わります。

まず現状の売却可能性を確認し、その後に片付け・修繕・解体が必要かを判断すると、余計な費用をかけずに進めやすくなります。

山口県では、2023年の住宅・土地統計調査で空き家が14万700戸、空き家率は19.4%。全国平均13.8%を上回り、全国8位となっています。山口県も空き家専用ポータルを設け、市町ごとの相談窓口や支援制度を案内しています。

情報確認日:2026年8月14日

相続した実家を売る前に、まず4つ確認する

「どの不動産会社に頼むか」を決める前に、自分の状況を整理しましょう。

確認すること確認する理由
誰が不動産を相続するのか売却を進められる所有者を確認するため
相続登記売却前に必要な登記を確認するため
家・土地・家財の状態現状売却、片付け、修繕、解体などを比較するため
税制売却方法や時期によって使える特例がないか確認するため

1.誰が実家や土地を相続するのか確認する

まず確認したいのは、誰がその不動産を相続するのかです。

例えば兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合、遺言や遺産分割の状況によっては、自分一人だけでは売却を決められません。

最初に、

  • 登記上の現在の名義
  • 相続人は誰か
  • 遺言の有無
  • 遺産分割が済んでいるか

を整理しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。

相続関係が複雑な場合は自己判断せず、法務局や司法書士などに確認してください。

2.相続登記が済んでいるか確認する

相続登記は2024年4月1日から義務化されています

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが原則で、正当な理由なく義務を果たさなかった場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。

2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。まだ登記していない場合には経過措置があり、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

また、「相続人申告登記」を行って申請義務を履行している場合でも、実際に相続した不動産を売却する際には別途相続登記が必要です。

そのため、親名義のままになっている実家なら、

相続関係を整理する
→ 必要な相続登記を行う
→ 売却する

という流れを考えておきましょう。

3.家・土地・家財がどのような状態か確認する

次に、実家そのものの状態を確認します。

例えば、

  • 築年数
  • 雨漏りや腐食など大きな劣化
  • 土地の状況
  • 境界に関する資料
  • 家財がどの程度残っているか
  • 何年間空き家になっているか

などです。

ここで重要なのは、確認=すぐ修理・片付け・解体することではないという点です。

現在の状態を把握したうえで、

「このまま売る」
「必要な範囲だけ片付ける」
「買取も検討する」
「解体も比較する」

という順番で考えます。

4.売却前に利用できる可能性がある税制を確認する

相続した空き家には、一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります

ただし、相続した空き家なら誰でも使える制度ではありません。

国税庁が示す要件には、対象となる家屋の建築時期、相続後の利用状況、売却時期、売却価格などがあります。現在の制度では2027年12月31日までの一定の譲渡が対象です。なお、2024年1月1日以降の譲渡で相続人が3人以上の場合、控除額は最高2,000万円となります。

該当する可能性がある場合は、売却や解体を進める前に最新の要件を確認してください。

個別の税額や適用可否については、税務署や税理士への確認が必要です。

相続した実家・空き家を売る基本的な流れ

一般的には、次のような順番で進めると整理しやすくなります。

1.相続人・名義を整理する

まず、相続人や遺産分割の状況を確認します。

親名義のままであれば、売却に必要な相続登記についても確認します。

2.実家と土地の現状を確認する

家の劣化、家財、土地の状況などを確認します。

この段階では、無理に家をきれいにする必要はありません。

3.現状でどの程度売却できそうか確認する

次に不動産会社などへ相談し、物件の売却可能性や価格の目安を確認します。

ここで、

「築50年だから価値がない」
「田舎だから売れない」

などと、自分だけで結論を出さないことが大切です。

建物の状態だけでなく、土地・立地・接道・権利関係などによっても条件が変わります。

4.仲介・買取など売却方法を比較する

売却方法を比較します。

国土交通省が案内する一般的な仲介では、不動産会社と媒介契約を結び、不動産会社が買主を探し、交渉・契約・引き渡しへ進みます。

一方、買取では不動産会社などが直接買主になります。

どちらが合っているかは、物件と希望条件によって変わります。

5.条件を確認して売却する

価格だけでなく、

  • 引き渡し時期
  • 家財の扱い
  • 修繕の必要性
  • 誰が何を負担するのか

なども確認します。

条件に納得したら契約、決済、引き渡しへ進みます。

6.売却後の税務手続きを確認する

売却によって譲渡所得が生じた場合や、空き家の3,000万円特別控除などの特例を利用する場合は、確定申告などの確認も必要になります。

仲介と買取、どちらで売る?

相続した実家を売る場合、「仲介」と「買取」は代表的な選択肢です。

比較仲介買取
買主一般の購入希望者など不動産会社・買取会社
買主探し必要原則不要
主な流れ査定→媒介契約→販売活動→契約査定→条件提示→契約
向いている市場で買主を探したい買取条件も比較したい
注意点売却までの期間は物件次第査定条件をよく確認する

「仲介なら高く売れる」「買取なら安くなる」と一律に決めるのではなく、自分が何を優先するかで比較してください。

例えば、

  • 売却まで時間を取れる
  • 一般の購入希望者も探してみたい

なら仲介を検討。

一方、

  • 長く空き家にしておきたくない
  • 築年数が古い
  • 一般的な売却ができるか不安
  • 現状のまま売却できる可能性を確認したい

なら、買取も比較対象になります。

最初からどちらか一つに決める必要はありません。

古い実家・築古の空き家でも売れる?

築年数だけで「売れない」と判断することはできません。

古い実家でも、

  • 建物付きで売却する
  • 土地を中心に評価してもらう
  • 買取を検討する
  • 条件を整理してから売る

といった選択肢があります。

一方、

  • 再建築が難しい
  • 共有持分になっている
  • 借地権がある
  • 建物の状態が著しく悪い

など、一般的な売却では条件整理が必要なケースもあります。

「古いから壊す」ではなく、まず現状でどのような売却方法が考えられるのかを確認する方がよいでしょう。

家財は売却前に全部片付けるべき?

家の中に、

  • 家具
  • 家電
  • 衣類
  • 食器
  • 仏壇
  • その他の生活用品

が大量に残っているケースもあります。

しかし、売却相談をする前にすべて処分しなければならないとは限りません。

売却方法や相手によって、求められる状態が異なるためです。

例えば、

大量の家財を先に費用をかけて処分
→ その後に売却相談

と最初から決めてしまうより、

売却方法を確認
→ 必要な片付け範囲を確認
→ 必要な分だけ処分

という順番の方が無駄な費用を避けやすくなります。

ただし、売却とは別に遺品整理や実家じまいそのものが目的なら、先に片付けを進める選択肢もあります。

古い実家は解体してから売った方がいい?

これも一律には決められません。

解体すれば土地として売りやすくなるケースがある一方、

  • 解体費用がかかる
  • 建物を必要とする買主の可能性をなくす
  • 税制や固定資産税などへの影響を確認する必要がある

ためです。

迷っている場合は次の順番で考えると分かりやすくなります。

状況まず確認すること
現状で売れるか分からない建物付きでの売却可能性
建物がかなり古い現状売却・買取・解体を比較
解体すると決めている解体費用と自治体制度
税制の特例が気になる解体前に適用要件を確認

売れるか確認していない段階なら、先に査定や売却相談をしてから解体を判断するという順番も検討してください。

山口県では市町ごとに空き家の相談窓口・制度がある

山口県は「山口県空き家ポータルサイト」を設けています。

ここでは、

  • 空き家の相談窓口
  • 空き家バンク
  • 空き家の適正管理
  • 利活用
  • 住宅関連の補助制度
  • 市町の空き家対策

などがまとめられています。

また2026年度についても、下関市・宇部市・山口市・萩市・防府市など、市町ごとの空き家相談窓口や助成制度情報が山口県公式サイトに整理されています。

そのため相談内容によって、窓口を分けるとスムーズです。

困っていること主な確認先
家を売りたい不動産会社・買取会社等
相続登記が分からない法務局・司法書士等
売却時の税金を確認したい税務署・税理士等
市町の補助制度を知りたい物件所在地の自治体
空き家の管理・活用を相談したい山口県・市町の空き家相談窓口

「どこに相談すればいいか分からない」という場合は、まず悩みをこの表に当てはめてみてください。

迷ったら「売却できるか」を確認してから次を決める

相続した実家に住む予定がないからといって、すぐに

売る
解体する
片付ける

のどれか一つに決める必要はありません。

特に、

  • 築年数が古い
  • 山間部や郊外にある
  • 家財が残っている
  • 長期間空き家になっている

といった実家では、

そもそも今の状態で売却できる可能性があるのか

を確認すると、その後の判断がしやすくなります。

売却できる可能性があるなら、

仲介で買主を探すのか
買取を検討するのか

を比較できます。

売却が難しい理由が分かれば、

片付け・条件整理・解体など、本当に必要な対応だけを検討する

こともできます。

最初から大きなお金をかけるのではなく、現状を把握してから次の行動を決めることがポイントです。

相続した実家の売却でよくある質問

親名義のままでも実家を売れますか?

相続した不動産を売却する場合には、相続登記が必要です。

相続人申告登記だけを行っている場合も、売却するには別途相続登記が必要と法務局が案内しています。

現在の登記状況が分からない場合は、法務局や司法書士などに確認してください。

築50年以上の実家でも売れますか?

築年数だけでは判断できません。

建物の状態だけでなく、土地、立地、接道、権利関係などによって売却条件は変わります。

先に解体するのではなく、現在の状態での売却可能性も確認してから判断した方がよいでしょう。

家の中に荷物が残っています。査定できますか?

荷物が残っていても相談できるケースはありますが、対応は不動産会社や売却方法によって異なります。

大量に処分する前に、どの程度の片付けが必要なのか確認しておくと安心です。

売却と解体のどちらを先に考えればいいですか?

まだ現状での売却可能性を確認していないのであれば、先に売却できるか確認してから解体を比較する方法があります。

一度解体すると元には戻せないため、費用・税制・売却条件を確認してから判断してください。

相続した空き家なら3,000万円控除を使えますか?

必ず使えるわけではありません。

対象となる家屋、建築時期、相続後の利用状況、売却期限、売却価格など細かな条件があります。

該当する可能性がある場合は、国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

まとめ|片付けや解体の前に、まず実家の状態と売却可能性を確認しよう

山口県で相続した実家・空き家に住む予定がなく、売却を考えているなら、次の順番で整理すると分かりやすくなります。

まず
→ 相続人・名義・相続登記を確認

次に
→ 家・土地・家財の状態を確認

そのうえで
→ 現状で売却できる可能性を確認

最後に
→ 仲介・買取・片付け・解体などを比較

状況別にまとめると次のとおりです。

自分の状況次に確認したいこと
相続した実家を売りたい現状での売却可能性
古い家なので売れるか不安仲介・買取など複数の売却方法
荷物が大量に残っている売却前に必要な片付け範囲
売るか解体するか迷っている売却可能性と解体費用
相続登記が分からない法務局・司法書士等
山口県内の制度を知りたい山口県・物件所在地の市町

「古いから売れない」「片付けてからでないと相談できない」と自分だけで決めず、まず現在の状態を整理する。

それが、相続した実家をどうするか決める最初の一歩です。

参考・確認した公式情報

この記事は、以下の公的機関・公式情報を確認して作成しています。

情報確認日:2026年8月14日