相続した実家に自分や家族が住む予定がない場合、主な選択肢は売る・貸す・残して管理するの3つです。

建物が古いなど、そのまま利用するのが難しい場合には、解体して土地として売る・活用する方法もあります。

どれを選ぶべきか迷ったら、まず次の4点を確認してみてください。

  1. 今後、その実家を使う人がいるか
  2. 空き家として管理を続けられるか
  3. 貸した場合に収支が合いそうか
  4. 現在の状態で売却できる可能性があるか

「住まないからすぐ売る」「古いから解体する」と先に結論を出す必要はありません。

一方で、「いつか使うかもしれない」と何年も決めないまま放置するのもおすすめできません。

この記事では、相続した実家に住まない場合の選択肢と、それぞれが向いているケースを整理します。

※この記事は、相続した、または相続することが決まった実家を今後どうするかを考えるための記事です。相続放棄など、相続そのものをするかどうかの個別判断は扱っていません。

情報確認日:2026年8月15日

Contents
  1. 相続した実家に住まないなら「売る・貸す・残す・解体」から考える
  2. まず4つ確認すると自分に合う選択肢が見えてくる
  3. 相続した実家を「売る」が向いている可能性があるケース
  4. 相続した実家を「貸す」が向いている可能性があるケース
  5. 実家を「残して管理する」が向いている可能性があるケース
  6. 「残す」と「放置する」は違う
  7. 解体して更地にするかは、売却可能性を確認してからでも遅くない
  8. 家財が残っていても「まず全部片付ける」と決めなくていい
  9. どうするか決められないなら、この順番で考える
  10. 相続した実家をどうするか決める前に相続登記も確認する
  11. 実家が山口県にあるなら自治体の空き家相談窓口・制度も確認できる
  12. 相続した実家に住まない場合のよくある質問
  13. まとめ|「使う予定・管理・収支・売却可能性」の順に確認しよう
  14. 参考・確認した公式情報

相続した実家に住まないなら「売る・貸す・残す・解体」から考える

まず、自分の状況を次の表に当てはめてみてください。

選択肢向いている可能性があるケース最初に確認すること
売る今後住む予定がなく、管理を続けたくない現在の売却可能性
貸す周辺に賃貸需要があり、収支が見込める家賃・修繕・管理・空室
残す家族が将来使う予定が具体的にある管理方法・維持費・残す期間
解体して土地を売る・活用する建物の利用が難しい建物付き売却との比較・解体費用

大切なのは、どれが一般的に一番得かではなく、自分の実家と家族の状況に合うかです。

例えば「貸せば家賃収入になる」と考えても、大きな修繕が必要で、周辺の賃貸需要も少なければ期待した収支にならないことがあります。

反対に、「築年数が古いから売れない」と思っていても、土地や立地などを含めて売却できる可能性があります。

最初から1つに決めず、判断材料を集めてから比較しましょう。

まず4つ確認すると自分に合う選択肢が見えてくる

1.今後、誰かが実家を使う予定はあるか

最初に確認したいのは、今後その家を本当に使う予定があるかです。

ここで気をつけたいのが、

いつか子どもが使うかもしれない
老後に戻るかもしれない
思い出があるので、とりあえず残しておきたい

という状態です。

もちろん、実家を残すこと自体が悪いわけではありません。

ただし「いつか」を理由に残すなら、

  • 誰が使うのか
  • いつ頃使うのか
  • それまで誰が管理するのか
  • 維持費を誰が負担するのか

まで考えておいた方が判断しやすくなります。

例えば「3年後に家族が住む予定」という場合と、「いつか誰かが使うかもしれない」という場合では、残す意味が大きく異なります。

2.空き家の管理を続けられるか

誰も住まなくても、家を所有している限り管理は必要になります。

特に実家が遠方にある場合は、

  • 定期的に現地へ行けるか
  • 建物の状態を確認できるか
  • 庭木や雑草を管理できるか
  • 台風などの後に状態を確認できるか
  • 家族の誰が管理するか

を考えておきましょう。

「残す」のであれば、

誰が・どのくらいの頻度で・いつまで管理するか

まで決めておくと、家族間でも認識を合わせやすくなります。

また、適切に管理されていない空き家は、空家法に基づく「管理不全空家」として市区町村から指導等の対象になる場合があります。指導に従わず勧告を受けた管理不全空家や特定空家の敷地は、固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れる仕組みがあります。

ただし、

「空き家にしたら固定資産税がすぐ高くなる」わけではありません。

問題になるのは、管理状態などによって制度上の措置を受けるケースです。

不安を感じて急いで売却する必要はありませんが、「残す」と「何もしないまま放置する」は分けて考える必要があります。

3.貸した場合に収支が合いそうか

「売るのはもったいないから貸そう」と考える人もいるでしょう。

賃貸にできれば、実家を手放さずに活用できる可能性があります。

ただし、

家がある

貸せば家賃収入になる

だけでは判断できません。

確認したいのは、

  • 周辺に借りたい人がいるか
  • どの程度の家賃が見込めるか
  • 入居前に修繕が必要か
  • 入居後の修繕費を負担できるか
  • 管理を自分でするか、管理会社へ任せるか
  • 空室になった期間も維持できるか

といった点です。

例えば、月々の家賃だけを見るのではなく、

家賃収入 − 修繕・管理などの費用

で考える必要があります。

貸すか迷ったら、不動産会社などに周辺の賃貸需要や想定家賃を確認してから判断するとよいでしょう。

4.今の状態で売却できる可能性はあるか

今後住む予定がなく、賃貸も難しそうなら、売却が選択肢になります。

ただし、

築50年だから売れないだろう
田舎だから買う人はいないだろう
荷物が残っているから無理だろう

と、自分だけで判断する必要はありません。

不動産の売却条件は、築年数だけではなく、

  • 土地
  • 立地
  • 接道
  • 建物の状態
  • 権利関係

などによっても変わります。

そのため、片付けや解体に費用をかける前に、現在の状態でどのような売却方法が考えられるか確認するという順番があります。

山口県にある実家を売る方向で考えている方は、関連記事の

山口県で相続した実家・空き家を売るには?売却前の確認事項と手順

で、相続登記から仲介・買取、片付け・解体を判断する順番まで整理しています。

相続した実家を「売る」が向いている可能性があるケース

次のような場合は、売却を一度検討してみる価値があります。

今後、自分や家族が住む予定がない

住む人が決まっておらず、今後も利用する予定がないなら、残す目的を一度整理してみましょう。

実家への思い入れがあり、すぐには決断できないこともあります。

その場合も、

半年後にもう一度考える
1年間は管理して、その時点で売却を再検討する

など、判断する時期を決めて残す方法があります。

遠方で空き家管理を続けるのが難しい

自宅と実家が近ければ管理できても、車で何時間もかかる場所では負担が大きくなることがあります。

売却するかどうかは、

「今の管理負担」だけではなく「この状態を今後5年、10年続けられるか」

まで考えてみると判断しやすくなります。

維持や修繕の負担を今後増やしたくない

建物は所有している間も状態を確認する必要があります。

「今は大きな問題がないから残しておこう」だけでなく、

  • 誰が管理するのか
  • 将来修繕が必要になった場合どうするか
  • 家族の負担にならないか

も考えましょう。

それらを負担してまで残す理由がない場合には、売却も比較対象になります。

古い実家でも、まず売却可能性を確認する

古い家だからといって、

売却前にリフォームする
→ 家財を全部処分する
→ 建物を解体する

と進める必要はありません。

売却方法によって求められる状態は違います。

まず今の状態で売却できる可能性を確認し、その結果を見て必要な対応を考える方が、判断しやすくなります。

相続した実家を「貸す」が向いている可能性があるケース

貸す選択肢を考えやすいのは、

  • 周辺に戸建ての賃貸需要がある
  • 大きな修繕をしなくても貸せそう
  • 費用を考えても収支が見込めそう
  • 所有者として管理を続けられる

といった場合です。

周辺の賃貸需要を確認する

重要なのは、「家が貸せる状態か」だけではありません。

その地域で、その条件の家を借りたい人がいるかも確認する必要があります。

地域や物件条件によって賃貸需要は異なります。

不動産会社に相談する場合は、

この家なら月いくらで貸せそうですか?

だけでなく、

この地域で戸建て賃貸の需要はありますか?

まで確認すると判断材料になります。

修繕しても収支が合うか確認する

長く空き家になっている家では、貸す前に修繕が必要になる場合があります。

ここで、

「修繕すれば貸せる」=「貸した方が得」

とは限りません。

必要な修繕費と想定家賃を確認したうえで、売却した場合とも比較しましょう。

貸した後も所有者であることは変わらない

家を貸しても、実家を手放すわけではありません。

そのため、

  • 将来どうするか
  • 修繕費をどうするか
  • 管理を誰に頼むか

まで含めて考えます。

「今は売りたくないけれど空き家にはしたくない」という場合には有力な選択肢ですが、管理から完全に解放されたい人には売却の方が合う可能性があります。

実家を「残して管理する」が向いている可能性があるケース

実家を売ったり貸したりせず、残すことにも合理的なケースがあります。

数年以内に使う予定が具体的に決まっている

例えば、

  • 自分が数年後に戻る
  • 子どもが住む予定
  • 家族が定期的に利用する

などです。

この場合は、無理に処分する必要はありません。

ただし、使うまでの期間について、適切な管理を続けることが前提になります。

管理する人と費用負担が決まっている

兄弟姉妹がいる場合、

長男が見てくれると思っていた
固定資産税は誰かが払っていると思っていた

という状態は避けたいところです。

誰が管理し、必要な費用を誰が負担するかを決めておきます。

残す期限を決めておく

今すぐ決められない場合、

「いったん残す」

という判断もあります。

ただし、

とりあえず残す

数年経つ

まだ決めない

とならないよう、

「○年後にもう一度、売る・貸す・残すを見直す」

と期限を設けておくと判断を先送りし続けにくくなります。

「残す」と「放置する」は違う

ここは特に区別して考えてください。

空家法は2023年に改正され、「特定空家」になる前の段階でも、適切な管理が行われていない空き家を「管理不全空家」として指導等の対象にできる仕組みが設けられました。さらに、勧告を受けた管理不全空家や特定空家の敷地は、固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れます

だからといって、実家を残すこと自体が問題なのではありません。

残すなら管理する。
管理を続けられないなら、貸す・売るなどを検討する。

という整理で十分です。

解体して更地にするかは、売却可能性を確認してからでも遅くない

かなり古い実家では、

こんな家は誰も買わないだろうから、壊して土地にした方がいい

と思うこともあります。

しかし、解体は一度行うと元に戻せません。

そのため、まだ売却可能性を確認していないなら、

建物付きで売れるか確認

現状のまま売る方法を比較

それでも解体が必要なら費用等を確認

という順番も検討してください。

解体が選択肢になりやすいケース

例えば、

  • 建物を今後使う予定がない
  • 建物の状態が悪い
  • 土地としての利用を考えている
  • 建物付きでの売却と比較したうえで解体したい

といった場合です。

ただし、解体後も土地は所有し続けます。

つまり、

「解体するか」だけでなく、「解体した土地をその後どうするか」

までセットで考える必要があります。

税金や自治体の制度なども関係する可能性があるため、解体を決める前に物件所在地の自治体や必要な専門家へ確認してください。

家財が残っていても「まず全部片付ける」と決めなくていい

相続した実家には、

  • 家具
  • 家電
  • 衣類
  • 食器
  • 写真
  • 仏壇など

家族の物がそのまま残っていることがあります。

売る・貸す・解体する、どの選択肢でも最終的には家財整理が必要になる場合がありますが、最初の行動が必ず「全部処分する」になるわけではありません。

特に売却を検討しているなら、

現状で相談

どこまで片付ける必要があるか確認

必要な範囲を片付ける

という進め方があります。

一方、

家をどうするかより、まず家族の物を整理したい

という場合は、実家じまい・遺品整理を先に進める方法もあります。

どうするか決められないなら、この順番で考える

選択肢が多くて決められない場合は、次の順番で確認してください。

① 今後、実家を使う人が具体的に決まっている?

YES
→ 残す方向を検討。管理方法・費用・使い始める時期を決める。

NO
→ ②へ。

② 今後も空き家の管理を続けたい・続けられる?

YES
→ 残す期限を決めて管理し、定期的に見直す。

NO
→ ③へ。

③ 貸した場合に収支が見込めそう?

YES
→ 周辺の賃貸需要・修繕費・想定家賃・管理方法を確認。

NO/分からない
→ ④へ。

④ 現在の状態で売れる可能性はある?

YES
→ 仲介・買取など売却方法を比較する。

難しそう/条件が特殊
→ 現状売却、買取、解体などを比較する。

この順番なら、

とりあえず解体する
とりあえずリフォームする
とりあえず全部片付ける

と大きな費用を先にかけることを避けやすくなります。

山口県にある実家で「売る」方向になった方は、

山口県で相続した実家・空き家を売るには?売却前の確認事項と手順

を次に確認してください。

相続した実家をどうするか決める前に相続登記も確認する

売る・貸す・残すの判断とあわせて、現在の名義と相続登記の状況も確認しておきましょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った場合、原則としてその日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。正当な理由なく義務を怠った場合は10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

誰が実家を相続するのか決まっていない、登記が親名義のままになっているなどの場合は、法務局や司法書士等へ確認してください。

売却する場合の相続登記については、先ほどの売却記事で詳しく説明しています。

実家が山口県にあるなら自治体の空き家相談窓口・制度も確認できる

「売るか、貸すか、残すか自分たちだけでは決められない」という場合には、公的な相談先も利用できます。

山口県は「山口県空き家ポータルサイト」を設け、

  • 空き家相談窓口
  • 空き家対策セミナー・無料相談会
  • 市町の空き家対策
  • 住宅関連の補助制度
  • 空き家の適正管理
  • 利活用
  • 空き家バンク

などをまとめています。ポータルは2026年5月20日時点で更新されています。

また山口県は、県内各市町の空き家相談窓口を一覧で掲載しており、山口地方法務局、司法書士会、宅建業協会などの相談先も案内しています。

2026年度についても、市町ごとの空き家相談窓口や助成制度等が県公式ページにまとめられています。制度内容は市町によって異なるため、実家がある市町の最新情報を確認するのが確実です。

さらに2026年度は、県内各市で空き家対策セミナーや専門家による無料相談会も案内されています。開催日程は変わる可能性があるため、参加を考える場合は山口県公式情報で最新日程を確認してください。

悩みによって相談先を分ける

困っていること主な確認先
実家を売りたい不動産会社など
貸せるか知りたい不動産会社など
相続登記が分からない法務局・司法書士等
空き家の管理・活用を相談したい県・物件所在地の市町
市町の補助制度を知りたい物件所在地の自治体

何でも一つの窓口で解決しようとせず、「何について困っているか」を整理してから相談先を選ぶとスムーズです。

相続した実家に住まない場合のよくある質問

相続した実家はすぐ売った方がいい?

必ずしもすぐ売る必要はありません。

家族が使う予定がある、賃貸として活用できそうなど、残す理由があるなら比較してから決めましょう。

一方、誰も使う予定がなく管理も難しい場合は、売却可能性を早めに確認しておくと今後の判断材料になります。

誰も住まない実家をそのままにしても大丈夫?

空き家として所有すること自体が直ちに問題になるわけではありません。

ただし、適切な管理が必要です。

空家法では、管理状態によって「管理不全空家」などとして指導・勧告の対象になる仕組みがあります。

残すなら「誰が、いつまで、どう管理するか」を決めておきましょう。

古い実家でも貸せる?

築年数だけでは決められません。

建物の状態や必要な修繕、周辺の賃貸需要、想定家賃などを確認して判断します。

修繕費が大きい場合は、貸す場合と売る場合の両方を比較するとよいでしょう。

荷物を全部片付けてから売った方がいい?

必ずしも売却相談前にすべて片付ける必要はありません。

必要な片付け範囲は、物件や売却方法などによって変わります。

大量の家財処分に費用をかける前に、現在の状態で相談できるか確認してみる方法があります。

売るか解体するか、どちらを先に考えればいい?

まだ売却可能性を確認していないのであれば、建物付きで売却できるか確認してから解体を比較する方法があります。

解体すると建物は元に戻せないため、売却条件・解体費用・税金や自治体制度などを確認してから判断してください。

まとめ|「使う予定・管理・収支・売却可能性」の順に確認しよう

相続した実家に住まない場合でも、すぐに処分方法を決める必要はありません。

まずは次の順番で整理してください。

自分の状況検討する方向
今後使う人と時期が決まっている残して管理
賃貸需要があり、収支が見込める貸す
今後住まず、管理も続けたくない売る
建物利用が難しい現状売却と解体を比較
まだ決められない売却可能性や自治体相談などから情報を集める

特に判断がつかない場合は、

今後使う予定があるか
→ 管理を続けられるか
→ 貸して収支が合うか
→ 現状で売れる可能性があるか

の順に確認すると、選択肢を絞りやすくなります。

山口県にある実家について、

今後住む予定はないので、売却する方向で具体的に考えたい

という方は、次の記事へ進んでください。

山口県で相続した実家・空き家を売るには?売却前の確認事項と手順

売却する前に確認したい相続登記、仲介と買取、家財、解体の順番を整理しています。

参考・確認した公式情報

情報確認日:2026年8月15日