空き家はそのまま売る?解体して更地で売る?判断基準と注意点

空き家を売りたいものの、
古い家を残したまま売るべき?
先に解体して更地にした方が売りやすい?
と迷っているなら、まだ売却可能性を確認していない段階で解体を急ぐ必要はありません。
まず、
- 建物を残した状態で売れる可能性
- 解体した場合の売却条件
- 解体に必要な費用
- 固定資産税や補助制度、税制への影響
を比較してから決める方が判断しやすくなります。
国土交通省も、老朽化が進んだ住宅では解体が選択肢になる一方、解体して更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がることがあると案内しています。解体後には建物滅失登記などの手続きもあります。
つまり、
「古い空き家=先に解体」ではありません。
この記事では、そのまま売る場合と解体して売る場合を比較し、どの段階で解体を検討すればよいか整理します。
情報確認日:2026年8月15日
空き家は「そのまま売る」「解体して売る」のどちらがいい?
まず大まかな違いを確認しましょう。
| 比較 | そのまま売る | 解体して更地で売る |
|---|---|---|
| 売却前の解体費 | 原則として不要 | 必要 |
| 建物を利用したい買主 | 検討対象に残せる | 建物はなくなる |
| 土地の状態 | 建物がある | 更地になる |
| 固定資産税 | 住宅用地特例が適用されている場合がある | 解体により特例が外れる場合がある |
| 売却前の資金負担 | 解体費はかからない | 解体費を先に負担する場合がある |
| 判断しやすいケース | まだ売却条件が分からない | 解体する合理性が確認できている |
どちらが必ず有利というわけではありません。
特に、
『 古いからどうせ売れないだろう 』
という理由だけで解体してしまうと、その後に
『 建物を残した状態でも売れたかもしれない 』
と分かっても元には戻せません。
迷っているなら、まず現在の状態で売却した場合の条件を確認するのが最初です。
先に解体せず、そのまま売る方が向いているケース
まだ建物付きで売れるか確認していない
最も分かりやすいのがこのケースです。
築年数が古くても、不動産の売却条件は建物だけで決まるわけではありません。
- 土地
- 立地
- 接道
- 権利関係
- 建物の状態
- 買主の利用目的
などによって判断は変わります。
そのため、
築50年だから解体する
といった築年数だけの判断は避け、まず不動産会社などに現状を確認してもらう方がよいでしょう。
山口県にある相続した実家を売る場合の手順は、別記事の
で整理しています。
建物を利用できる可能性がある
古い建物でも、
- 修繕して住む
- リフォームする
- 古家付き土地として購入する
など、買主側の判断によって建物を残した状態で取引される可能性があります。
売主側が先に建物をなくしてしまうと、当然ながらその選択肢はなくなります。
そのため、まだ売却条件を確認していない段階なら、
建物がある状態と、更地にした状態の両方を比較する
のが合理的です。
解体費を先に負担したくない
解体する場合は工事費用が発生します。
国土交通省は解体工事を依頼する際、建設業法の許可事業者または建設リサイクル法の登録事業者へ依頼し、複数の事業者から見積もりを取り、書面で契約することを勧めています。
つまり、解体を選ぶなら、
「更地の方が売れそう」
だけでなく、
解体にいくら必要なのか
を実際の見積もりで確認する必要があります。
売却できるか分からないまま更地にしたくない
例えば、
解体する
→ 費用を支払う
→ 更地にする
→ それでもすぐには売れない
という可能性も考えておく必要があります。
解体したからといって売却が保証されるわけではありません。
そのため売却目的の解体なら、
「解体すれば売れるか」ではなく、「解体すると売却条件がどう変わるか」
を不動産会社などに確認する方が判断しやすくなります。
解体して更地で売ることを検討しやすいケース
一方で、解体が合理的なケースもあります。
建物の老朽化がかなり進んでいる
国土交通省も、住宅の老朽化が進み売却や賃貸が難しい場合や、空き家として十分な管理ができない場合には、解体を検討するよう案内しています。
例えば、
- 建物の傷みが大きい
- 今後使用する予定がない
- 維持管理を続けるのが難しい
といった場合は、解体も比較対象になります。
ただし、老朽化しているからといって、査定前に解体する必要があるとは限りません。
建物を残した状態では売却条件が合わない
一度現状で売却相談をした結果、
建物付きでは買主を見つけにくそう
土地として検討する買主が中心になりそう
と分かった場合は、解体後の条件を確認する意味があります。
この段階なら、
現状売却と解体後の売却を比較している
ので、解体する理由も明確になります。
解体費を含めても条件が合う
最終的には、
解体後にどれだけ売却条件が変わるのか
と、
解体にいくら必要なのか
を比較します。
「更地にした方が査定額が高い」という理由だけでは判断できません。
解体費、税金、補助制度なども含めて考える必要があります。
「先に解体」か「そのまま売る」だけの二択ではない
もう一つ知っておきたいのが、
売買契約をしてから引き渡しまでに解体する
という形です。
国土交通省の空き家対策事例でも、「建物解体後の引き渡し」を条件に売買契約を締結し、その後に建物の解体・滅失登記を行って土地を引き渡した事例が紹介されています。
つまり、
売る前に更地にして買主を探す
だけが方法ではありません。
例えば、
- 建物がある状態で売却活動
- 買主が決まる
- 解体条件を売買契約で決める
- 解体する
- 土地を引き渡す
という進め方が取られる場合もあります。
ただし、この場合は契約条件が非常に重要です。
- 誰が解体するのか
- 誰が費用を負担するのか
- いつまでに解体するのか
- 解体後の引き渡し条件
- 解体時に想定外のものが見つかった場合
などを、不動産会社等と確認して契約内容を明確にしてください。
解体する前に比較したい4つの条件
「解体した方がよさそう」と感じても、最低限次の4つを確認してから決めましょう。
1.現在の状態で売った場合の条件
まず基準になるのが、
今のまま売ったらどうなるか
です。
これが分からないままでは、解体するメリットも判断できません。
確認したいのは、
- 現状で売却できる可能性
- 建物付きでの査定
- 仲介・買取など考えられる売却方法
- 売却前に必要とされる対応
などです。
2.解体した場合の売却条件
次に、
『 更地にした場合はどう変わりますか? 』
と確認します。
ここで初めて、
現状のまま
vs
解体後
を比較できます。
3.実際の解体見積額
解体費用は建物や敷地条件などによって変わるため、この記事では一律の相場で判断しません。
国土交通省も、解体工事では複数事業者から見積もりを取ることを推奨しています。
比較する際は金額だけでなく、
- どこまで工事に含まれるか
- 追加費用が発生する条件
- 家財等の扱い
- 工期
- 契約内容
も確認しておきましょう。
4.解体後の税金・補助制度
解体によって税負担が変わる可能性があります。
また、自治体によっては一定の空き家を対象とした除却補助制度があります。
そのため、
解体業者を決める前に自治体制度まで確認する
ことが大切です。
更地にすると固定資産税はどうなる?
ここは空き家解体で誤解されやすいポイントです。
解体すると住宅用地特例が外れる場合がある
国土交通省は、住宅を解体して更地にした場合、土地に適用されていた固定資産税の住宅用地特例が解除され、税額が上がると案内しています。
そのため、
年内に壊した方がいいのか
売却する直前まで残した方がいいのか
などは、物件ごとに確認した方が安全です。
固定資産税の具体的な金額は、市町村の資産税担当部署などで確認できます。
「家を壊すと固定資産税が必ず6倍」ではない
インターネットでは、
「解体すると固定資産税が6倍になる」
という説明を見かけることがあります。
しかし、実際の税負担は土地の評価額や住宅用地特例の適用状況などによって異なります。
したがって、
【 解体 = 必ず税金が6倍 】
とは考えず、
「住宅用地特例が外れることで税額が変わる可能性がある」
と理解しておく方が正確です。国土交通省も、解体時の説明を住宅用地特例の解除による税額上昇として案内しています。
相続した空き家なら3,000万円特別控除も解体前に確認する
相続した実家の場合は、解体前に税制も確認してください。
一定の要件を満たす相続空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。2024年1月1日以後の譲渡で対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は最高2,000万円です。現行制度では一定の譲渡が2027年12月31日まで対象です。
ただし、相続した実家なら誰でも使える制度ではありません。
対象家屋には建築時期など細かな要件があります。
解体した後に土地を売るケースも対象になり得る
国税庁は、一定の要件を満たした被相続人居住用家屋について、家屋を全部取り壊した後に敷地を売却するケースも特例の対象になり得るとしています。
そのため、
控除を使いたいから建物を残さなければならない
とも、
解体したら特例が使えなくなる
とも一律には言えません。
2024年以降は売却後に解体するケースも制度上想定されている
2024年1月1日以後の一定の譲渡については、売却時点では建物が残っていても、譲渡した年の翌年2月15日までに家屋の全部を取り壊すなどの要件を満たせば、特例対象になり得る仕組みがあります。
つまり税制上も、
「売る前に絶対に解体しなければならない」
とは限りません。
ただし、適用にはほかにも多くの要件があります。
相続空き家の特例を利用できそうな場合は、解体工事や売買契約を進める前に国税庁の最新条件を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ確認してください。
山口県で解体するなら市町の補助制度を契約前に確認する
山口県内では、市町ごとに空き家の相談窓口や助成制度が異なります。
山口県は2026年度について、下関市・宇部市・山口市・防府市・岩国市・周南市など県内各市町の空き家相談窓口・助成制度を一覧で掲載しています。
つまり、
「山口県の解体補助金」という一つの制度が全員に適用されるわけではありません。
実家が所在する市町の制度を確認してください。
例えば山口市は一定の老朽危険空家が対象
山口市では2026年度、「老朽危険空家等除却促進事業補助金」を実施しています。
対象は、市内の空き家なら何でもよいわけではありません。
直近約1年間使用されていないことや、構造、老朽度・危険度など一定の要件があります。補助額は補助対象経費の3分の1、上限50万円です。
したがって、
山口市なら空き家を壊せば50万円もらえる
という制度ではありません。
自分の実家が対象になるかを先に確認する必要があります。
補助制度は契約・着工のタイミングにも注意する
制度によっては、交付決定より前に解体契約や工事を始めると補助対象外になる場合があります。
例えば下関市の2026年度「まちなかリビルド支援事業」では、交付決定前に事業を開始すると補助対象外となり、解体業者との契約締結開始時を事業開始とみなしています。なお、この制度は対象地域・建物・建替え条件が限定された制度で、一般的な戸建て空き家すべてが対象ではありません。
ここで伝えたいのは、下関市のこの制度を使うことではなく、
補助金を使いたいなら「解体してから探す」のでは遅い場合がある
ということです。
順番は、
自治体制度を確認
→ 対象条件を確認
→ 申請時期を確認
→ その後に契約・工事
と考えておきましょう。
解体すると決めたら確認すること
比較した結果、
『 この家は解体して売る方向で進めよう 』
と決まったら、次の順番で確認します。
1.複数の解体見積もりを比較する
国土交通省は複数事業者から見積もりを取ることを勧めています。
見積額だけではなく、工事範囲や追加費用が発生する条件も比べましょう。
2.許可・登録を確認する
国土交通省は、解体工事を依頼する際には建設業法の許可事業者または建設リサイクル法の登録事業者へ発注するよう案内しています。
価格だけで業者を決めず、必要な許可・登録を確認してください。
3.書面で契約する
解体工事についても契約内容を明確にします。
国土交通省も書面による契約を推奨しています。
特に、
- 工事範囲
- 費用
- 追加工事
- 工期
- 廃棄物の処理
- 解体後の状態
などは事前に確認しておきましょう。
4.補助制度は契約前に再確認する
補助金を利用する予定なら、工事契約前に自治体へ確認してください。
募集期間、対象建物、工事業者の条件などが年度によって変更される可能性があります。山口県は市町ごとの最新情報をまとめています。
5.解体後は建物滅失登記を確認する
登記されている建物を解体した場合は、解体完了後1か月以内に建物滅失登記を申請する義務があります。国土交通省もこの点を案内しており、法務局では建物滅失登記のオンライン申請案内も公開しています。
自分で手続きすることもできますが、分からない場合は法務局や土地家屋調査士などへ確認してください。
迷ったらこの順番で判断する
まだ決められない場合は、次の順番で考えてみてください。
① 今の状態で売れるか確認した?
NO
→ まず現状の売却可能性を確認する。
YES
→ ②へ。
② 建物を残した状態の売却条件に納得できる?
YES
→ そのまま売却を検討。
NO
→ ③へ。
③ 解体した場合の売却条件はどう変わる?
まだ確認していない
→ 不動産会社などへ確認。
条件がよくなりそう
→ ④へ。
④ 解体費・税金・補助制度を含めても合理的?
YES
→ 解体を具体的に検討。
NO/判断できない
→ 現状売却や別の売却方法をもう一度比較する。
この順番なら、
古い
→ 解体
ではなく、
現状を確認
→ 比較
→ 必要なら解体
と進められます。
山口県の相続した実家で、まだ現状の売却可能性を確認していない方は、
から確認してください。
空き家をそのまま売る・解体して売る場合のよくある質問
築50年以上なら解体した方がいい?
築年数だけでは判断できません。
土地・立地・建物状態・買主の利用目的などによって売却条件は変わります。
まず現在の状態で売れる可能性を確認し、解体後の条件と比較してください。
古い家を残したまま売ることはできる?
古い建物が残っている状態でも売却されるケースはあります。
ただし、実際にどのような売却方法が合うかは物件によって異なります。
「古いから売れない」と自分だけで判断せず、現状の条件を確認してください。
更地にすると固定資産税は6倍になる?
必ず6倍になるわけではありません。
住宅を解体すると土地に適用されていた住宅用地特例が外れ、固定資産税等の負担が増える場合があります。実際の税額は土地や特例の適用状況などによって異なります。
具体的な税額は、実家所在地の市町村へ確認してください。
解体費を売却代金から払うことはできる?
売買契約後、建物を解体してから引き渡す形が採られるケースはあります。国土交通省の空き家対策事例にも、契約後に解体・滅失登記を行い、その後に土地を引き渡した事例があります。
ただし、解体業者への支払時期と売買代金を受け取る時期は契約によって異なります。
「売れればそのお金で払える」と最初から考えず、資金の支払時期を不動産会社と解体業者の双方に確認してください。
解体補助金は誰でも利用できる?
利用できません。
自治体ごとに制度が異なり、対象となる建物、所有者、老朽度、申請期間などの条件があります。
例えば山口市の2026年度制度も、一定の老朽危険空家等に対象が限定されています。
実家所在地の自治体で最新制度を確認してください。
家財が残っていても解体を依頼できる?
解体業者によって対応範囲が異なるため、見積もり時に確認してください。
家財処分が解体工事とは別になる場合もあるため、
「家の中にこれだけ荷物が残っている状態で、どこまで見積もりに含まれるか」
を事前に確認するとトラブルを避けやすくなります。
まとめ|解体する前に「現状売却・解体後・費用」を比較しよう
空き家をそのまま売るか、解体して更地で売るか迷ったら、次のように考えてください。
| 状況 | まずすること |
|---|---|
| 古いから売れないと思っている | 現状での売却可能性を確認 |
| 建物を利用できる可能性がある | 建物付き売却も比較 |
| 老朽化がかなり進んでいる | 現状売却と解体後の条件を比較 |
| 解体する方向になった | 解体見積もり・税金・補助制度を確認 |
| 相続した空き家 | 3,000万円特別控除の対象可能性も確認 |
| 解体すると決めた | 契約前に補助制度、解体後に滅失登記を確認 |
大切なのは、
「解体すれば売れるだろう」と先に費用をかけないことです。
まず現在の状態で売却した場合の条件を確認する。
そのうえで、
建物付きの売却条件
vs
解体後の売却条件と必要な費用
を比較してください。
解体は目的ではなく、空き家をどう処分・活用するかを実現するための一つの手段です。
山口県にある相続した実家を売却する方向で考えている方は、次の記事で売却までの順番を確認できます。
参考・確認した公式情報
- 国土交通省|住まいを解体するときは
解体業者の許可・登録、複数見積もり、書面契約、建物滅失登記、住宅用地特例について確認。 - 国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
住宅用地特例と空き家対策上の扱いを確認。 - 国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続空き家の3,000万円特別控除、解体後の土地売却、売却後の取り壊し等の要件を確認。 - 国土交通省|空き家の発生を抑制するための特例措置
2024年以降の売却後の取り壊し等について確認。 - 山口県|市町の空き家対策関連情報について
2026年度の県内市町の相談窓口・助成制度を確認。 - 山口市|令和8年度老朽危険空家等除却促進事業補助金
対象空き家、補助率、上限額等を確認。 - 法務局|建物を取り壊した場合の建物滅失登記
建物滅失登記の手続きを確認。
情報確認日:2026年8月15日
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