空き家を売るとき、価格を重視し、買主を探す時間を取れるなら「仲介」を検討できます。売却の期限や、片付け・管理の負担を重視するなら「買取」の条件も比較してみましょう。

ただし、自分に合う方法は、家の状態や所在地、実際に提示される条件によって変わります。まず比べたいのは、手元に残る金額・引き渡し時期・家財や修繕の負担の3つです。

この記事では、仲介と買取の違いを整理し、査定で何を聞けば売却方法を選べるのかを説明します。

情報確認日:2026年9月11日

空き家を売る「仲介」と「買取」の違い

仲介は、不動産会社に買主探しや取引の調整を依頼する方法です。買取は、不動産会社などが買主になり、家や土地を購入する方法です。

ここでは、買取会社と直接取引する場合を基本に比較します。

比較すること仲介買取会社との直接取引
買主販売活動を通じて探す購入希望者買取会社
価格の決まり方査定を参考に売り出し、買主と交渉する買取会社の提示条件をもとに協議する
売却までの期間買主が見つかる時期や契約条件による買取審査・条件合意後の予定を確認する
仲介手数料媒介契約で金額を確認する仲介会社を挟まなければ不要
内覧・現地確認購入希望者への内覧対応などがある買取会社による現地確認などがある
家財・修繕の扱い買主との契約条件で決まる買取会社の提示条件で決まる

仲介を依頼する際の「媒介契約」は、売買契約とは別の契約です。業務の範囲や手数料を確認して結びます。国土交通省の媒介契約の案内

買取会社と直接取引し、仲介会社を挟まない場合は、仲介手数料はかかりません。別の不動産会社に仲介を依頼して買取会社へ売る場合は、仲介手数料を確認します。

買主が不動産会社でも、自分の取引に仲介会社が入るかどうかを確認してください。

仲介と買取、どちらが自分に合う?

価格を重視し、買主を探す時間を取れるなら仲介を検討

一般の購入希望者にも検討してもらい、価格を重視して売りたい場合は、仲介での販売条件を聞いてみましょう。

例えば、売却を急いでおらず、その間の管理や内覧に対応できる人です。不動産会社には、査定額とあわせて次の点を聞くと判断しやすくなります。

  • どのような買主が見込めるか
  • 査定額の根拠となる取引事例はあるか
  • どのくらいの期間で、いくらの成約を目指す計画か
  • 反響が少ない場合、いつ販売方法や価格を見直すか

売り出してからの対応まで聞いておけば、管理を続けられる期間と照らし合わせて考えられます。

売却期限や片付け・管理の負担を重視するなら買取条件も比較

遠方の実家へ何度も通うのが難しい、家財を自分で整理しきれない、売却の見通しを立てたいといった場合は、買取の条件も確認する価値があります。

その際は、金額と一緒に「いつ引き渡せるか」「何を残せるか」「自分で行う作業は何か」を聞いてください。

例えば、家具を残せる条件であっても、処分にかかる費用が買取価格に織り込まれている場合があります。「片付けを任せられる」という説明だけで判断せず、価格と負担を合わせて比較しましょう。

また、築年数だけでは売却方法を決められません。売れるかどうかから迷っている方は、古い実家・築古空き家の売却方法も確認できます。

まだ決められないなら、譲れない条件を先に決める

希望が複数あるときは、次の3つを書き出してみてください。

自分の希望書き方の例
金額諸費用を差し引いて、いくら残したいか
期限いつまでに引き渡しを終えたいか
作業負担家具の搬出は任せたい、現地へ行ける日は限られる、など

その中から、特に譲れない条件を1つ選びます。

「価格が下がるなら販売期間を延ばせる」のか、「多少条件が変わっても期限を優先する」のかが分かると、提案を受けた後の判断がしやすくなります。

売却価格だけでなく、手元に残る金額を比較する

仲介の査定額と買取の提示額は、確定している条件を分けて見る

仲介の査定額は、売却できると見込む価格の目安です。 その金額で買う人が決まったことを意味しません。売り出し価格も、最終的に買主と合意する成約価格とは区別します。不動産ジャパン|価格査定の位置付けと確認事項

一方、買取の提示額も、現地確認や審査前の概算なのか、調査を終えた後の購入条件なのかを確認します。

不動産会社には、次のように聞くと整理できます。

「この金額はどの調査を終えた段階のものですか。今後、金額や引き渡し条件が変わる可能性はありますか」

仲介の高い査定額と、調査後の買取提示額を、どちらも確定した売却代金として比較しないようにしましょう。

仲介手数料・片付け費用・売却までの維持費を確認する

売却方法によって、売主が負担する費用や作業が異なります。

仲介手数料のほか、家財の処分、必要な測量や登記、契約書の印紙、合意した修繕・解体などの費用を確認します。売れるまでにかかる管理費や、実家へ通う交通費も、自分の負担を考えるための項目です。

例えば、売却代金700万円、税金と借入返済を除く売主負担の費用を80万円と仮定すると、その段階で残る金額は620万円です。これは計算方法を示す仮の例で、売却価格や費用の相場ではありません。

家財については、「売主が撤去する」「買主が引き受ける」「代金から費用を差し引く」のどの条件かを確認してください。価格に反映済みの費用を、さらに差し引いて二重に計算しないことも大切です。

片付ける範囲が決まっていない方は、荷物が残る実家を売るときの片付けの順番で整理できます。

800万円以下の物件は仲介手数料の特例も確認する

物件価格が800万円以下の宅地・建物には、仲介手数料の特例があります。

国土交通省の案内では、媒介に要する費用を勘案して通常の上限を超える手数料を受け取れる場合がありますが、売主または買主の一方から受け取る額は税込33万円以内です。空き家かどうかなど、使用状態は問われません。

一律に33万円かかる制度ではありません。媒介契約を結ぶ際に、特例の適用と実際の手数料を確認し、あらかじめ合意します。国土交通省の仲介手数料・特例の案内

手取りを比べるときは、税金や残債も確認する

仲介と買取の提案を比べるときは、売却価格だけでなく、費用や引き渡し条件も確認しましょう。以下の表に、不動産会社へ確認しておきたい項目をまとめました。

確認する項目仲介で確認すること買取で確認すること
売却代金の見込み・提示額金額と算定根拠金額と提示条件
金額が変わる条件値下げ・交渉など追加調査・審査など
仲介手数料合意する金額直接取引か、仲介経由か
家財・修繕等の負担作業範囲・金額作業範囲・金額
測量・登記等の費用必要な項目と金額必要な項目と金額
売却までの管理・交通費想定期間に応じた負担想定期間に応じた負担
税金・借入返済・清算金税額、返済額、受取・支払税額、返済額、受取・支払
引き渡し時期見込みと条件見込みと条件
現地で必要な対応内容・回数内容・回数

金額が分からない費用は、手取りを計算する前に不動産会社へ確認してください。借入金が残っている場合は、その返済も含めて最終的な手取りを確認しましょう。

なお、ここでの負担比較と、税金を計算するための「譲渡所得」は計算の目的が異なります。譲渡所得は売却収入から取得費・譲渡費用を差し引く仕組みで、修繕費や固定資産税などの維持管理費は、原則として譲渡費用に含まれません。国税庁の計算方法譲渡費用の範囲

個別の税額や使える特例は、購入時の資料などを用意して税務署や税理士に確認します。

査定を依頼してから売却方法を決めるまでの進め方

名義・建物の状態・家財・希望する売却時期を整理する

最初の相談に向けて、分かる範囲で次をまとめます。

  • 所在地と、現在の名義・相続関係
  • 築年数、雨漏りなど把握している不具合
  • 残っている家具・家電の量
  • 土地や建物の資料、境界について分かっていること
  • 希望する引き渡し時期と、現地へ行ける日

登記や測量などの資料が手元にあれば、相談時に伝えると役立ちます。見当たらない資料がある場合は、そのことを伝えて必要な準備を聞きましょう。不動産ジャパン|査定に必要な資料・情報

名義や相続人の整理がついていない場合は、売却の相談とあわせて、必要な手続きを司法書士等に確認します。

物件所在地と状態に対応する会社へ、同じ条件で相談する

比較する会社には、同じ情報を伝えます。

「A社には家具の撤去済みを前提に相談し、B社には家財を残した状態で相談した」という場合、提示額の差がどこから生まれたのか分かりにくくなります。

例えば、次の内容をそろえて伝えてください。

「相続した空き家の売却を検討しています。家具は残っており、現状で売る場合の価格、売主が負担する費用、引き渡せる時期を知りたいです」

すでに媒介契約を結んでいる方は、他社への依頼や直接取引に関する契約条件を先に確認してください。媒介契約の種類によって、他社への重ねての依頼などに違いがあります。不動産ジャパン|媒介契約の種類と条件

提示額・引き渡し日・費用負担・売却後の責任を確認する

価格を聞いた後は、次の点を、契約書や条件を書いた資料で確認します。

確認項目聞いておきたいこと
家財何を残せて、何を売主が撤去するのか
修繕・解体・測量必要な作業と費用を誰が負担するのか
引き渡しいつ、どの状態にして渡すのか
価格変更調査結果などで提示額が変わる条件は何か
売却後の責任不具合が判明した場合の責任の有無・範囲・期間はどうなるか

知っている雨漏りや設備の故障などは、相談時に伝えます。口頭の説明と書面が違う場合は、署名前に確認してください。

解体する案が出た場合も、費用をかける前に、建物を残して売る場合と解体して売る場合を比較しておきましょう。

売却相談の前に確認しておきたい費用と連絡の流れ

申込み前には、相談する会社の案内で次を確認します。

確認すること見るポイント
対応地域・物件所在地、建物の状態、権利関係が対象か
費用査定料の有無と、別途費用がかかる作業
連絡方法電話・メールのどちらで連絡が来るか
現地確認立ち会いの要否、鍵の扱い、候補日
条件が合わない場合回答の方法、申込時に同意する条件

査定の依頼と、媒介契約・売買契約は区別して考えます。査定結果を受け取った段階で、次に何を契約するのかを確かめてください。

買取を相談する場合も、金額が決まるまでの調査内容や、条件の合意から契約・引き渡しまでの手順を確認しましょう。

電話に出られる時間が限られる方は、連絡可能な時間帯を申込時に伝えます。メール中心のやり取りや立ち会いなしの対応を希望する場合は、対応できるかを先に確認してください。

売却を具体的に検討していて物件が対象なら、現在の状態での価格と引き渡し条件を聞き、表の項目を参考に、まだ分かっていない費用や条件を確認しましょう。

空き家の仲介・買取でよくある質問

仲介で売れなければ、途中から買取に切り替えられる?

切り替えを検討することはできます。ただし、現在の媒介契約の期間、変更・解除の条件、費用の扱いを確認してから進めます。

先に仲介会社へ、問い合わせや内覧の反応、価格の見直し案を聞き、そのうえで買取条件と比較すると判断材料が増えます。

買取なら、どんな空き家でも買い取ってもらえる?

買取会社ごとに対象地域や物件の基準があり、審査も行われます。申し込めることと、買取条件が提示されることは同じではありません。

断られた場合は、対応地域の問題なのか、建物・土地・権利関係などの問題なのかを確認し、次の相談先を考えましょう。

買取保証と、最初から買取を依頼する方法は何が違う?

買取保証は、一定期間販売して成約しなかった場合に、あらかじめ決めた条件で会社が買い取る仕組みです。最初から会社による購入を相談する直接買取とは、販売活動を行う期間がある点などが異なります。

利用する場合は、販売期間・保証額・対象物件・適用条件を確認します。審査の有無や保証の対象外となる条件も聞き、どの条件で買い取ってもらえるのかを書面で確認してください。

まとめ|手取り・売却時期・引き渡し条件をそろえて判断しよう

仲介か買取かで迷ったら、まず自分が重視する条件を決め、同じ物件情報で提案を受けて比較します。

提示額だけで決めず、売主負担の費用や必要な作業まで確認すれば、「価格を優先して仲介を続ける」「負担も考えて買取条件を検討する」と判断しやすくなります。

まだ選べない場合は、表の項目から、まだ確認できていないことを1つ選んで不動産会社に聞いてみてください。家財を残せるか、引き渡し日はいつかなど、条件が分かることで次の判断に進めます。

山口県にある相続した実家について、名義や売却全体の順番から確認したい方は、山口県で相続した実家・空き家を売る前の確認事項と手順をご覧ください。